藤花幻:つちのこプロデュース完全無欠の主観的歴史教室 3

「短編」
甲斐武田は戦国最強か

つちのこプロデュース完全無欠の主観的歴史教室 3

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   3 袋小路よ新天地・・・

 1542年、武田家は信濃の国に進行する。諏訪口の先に広がる信濃の国は甲斐の国の約三倍とはるかに大きい国である。だが大小の違いこそあれど実情は甲斐の国の拡大版で、高山に囲まれた盆地を糸で繋ぐ様な地だったのである。それぞれに豪族や小大名が割拠していたが、それもつまり外敵の進入を容易には許さない地形であったから。守るに易く攻めるに難いのだ。事実、武田家は信濃支配には何度も躓いている。特に長野盆地の入り口では村上義清に二度も大敗を喫しており、武田家の支柱とも言える程の有力家臣を数多く失っている。それでも何とか勢力を拡大してこれたのは、信濃の大名領主の規模がこぞって小さかった為である。主な所で諏訪、伊那、松本、佐久、上田、長野と数こそ多いが、それぞれの盆地は甲府盆地よりもずっと狭い。総石高は全部を合わせても60万石程度だから各豪族の石高などたかが知れている。甲斐の国はさほど豊かではなかったものの、そんな信濃の小豪族に比べればずっと巨大だった。世は戦国。信濃の豪族も例外ではなく相互に争っていた訳だから、協調性は弱い。調略による切り崩しを図りながら常に数の有利を保ち、各個に圧力を掛けていく方法は十分効果的であったのだ。
 武田家は最終的に長野盆地の東半分を除くほぼ全域約55万石を手に入れる。しかし躑躅ヶ崎からの直線距離は遠い所で実に100kmを超える(無論道程にすると更に数倍遠い。しかも山道)に及んだ。織田家が岐阜城から40km圏内で100万石を誇っていた事を考えれば如何にも遠い。これは武田家の領国経営に大きなハンデがあった事を物語っている。
 1562年、甲斐の国、信濃の国を手中に収めた武田家ではあったが、まだ出口を見つけられないでいた。新たな進路としては北の越後、北東の上野、西の美濃、北西の飛騨があるが、その何れも険しく長い山越えが待ち構えていた。越後は長尾影虎(上杉政虎・謙信)が川中島まで出張って来て立ち塞がっており、それ以上の侵攻は頓挫(その後も含め五度の泥仕合で証明される。ちなみに武田軍は常に多勢だった)した。美濃の国は大身の斉藤家が全域を掌握しており、かなりの難敵である。しかも大軍を送るとしたら、松本の地から木曽谷の隘路を延々70km(注:飽くまで直線距離で、です)も行かねばならず、行軍するだけでも容易ではない。飛騨に至っては更に険しい陸の孤島だ。消去方で比較的近い上野の国に照準を定めることとなった。
 ところが、入り口の箕輪城でまたも躓いてしまう。老将長野業正に何度も追い返され、多大な犠牲を出しながら、やっとの想いで箕輪城を落としたと思いきや、既に南東の良い所(上野の国は肥沃な平野部は南東に集中している)は同盟相手の北条氏に掻っ攫われていたのだ。残っていたのは西部の山間の地ばかり。面積こそ大きいが石高で言えば10万石も無く、苦労ばかり大きく実入りは小さかった。

武田 距離
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~ Comment ~

NoTitle

地勢、財政からの考察。
まるで講談みたいにとんとんと進められて納得してしまいます。
司馬遼太郎って神の視点というか全体を俯瞰して何の迷いもなく
話を進めますが、ちょっと似てますね。
大河ドラマ「風林火山」を時どき観てました。
謙信にはガクッとさせられましたが。(笑)

エリアンダー様へ

 こんにちは。コメントありがとうございます。
 こういうものは腹芸いっぱつ、強気で押せ押せ。どうせ通説の基は講談、小説、プロパガンダ。理屈で詰めりゃ矛盾がいっぱい。後は人の心に沈着した思い込みをどうやって引っぺがすか。それには本人が揺らいじゃ駄目なんじゃなかろーか。と、好き放題言ってみる。
 ガクトの謙信はねぇ・・・。ナルシスとって意味では似合いかもかも。
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