藤花幻:サルベージ 唇をかみしめて 13/2/5・13

好きな歌をば

サルベージ 唇をかみしめて 13/2/5・13

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 サルベージその2 この歌に付いては最初に描いて直ぐ焼きなおしている。ま、初出ではないのでまとめてどーぞ。

 当初、武田鉄矢さんの作詞だと思っていた。吉田拓郎さんだったんですね。って20年前の勘違い。さて、それより遡ること更に10年前の歌。当時ガキんちょだった私に歌詞の意味なんて判らなかったけど、何故か好きだった。最近になってまた聞いて、ああ、やっぱり良いなぁと思った次第。中島みゆきさんや武田鉄矢さんも歌っているが、あちらもまた別の味があって良い。特にみゆきさんのカバーは「その人物」の性別を不明にした混沌の名作である。まあ、とにかく良い歌は良い。
 なお、下の歌詞の一部に明らかに変なところがあるのはご愛嬌(元記事の歌詞では「さばくもさばかんも」のところが管理人の悪戯により「鯖食うも鯖缶も」になっていたのである)。この歌には〇ハの鯖缶がよく似合う。

 - 唇をかみしめて -     吉田拓郎

 歌詞 削除(笑

 登場人物は二人。旅人と、旅先で出会った人物。どちらも訳有。これはその人物の独白。
 ある日、ふらりと現れた男は、たまたま旅先に居合わせた人物と関わりをもったのだろう。酒にでも酔った勢いで罪を背負った身の上を話したのかもしれない。彼の罪が法的なものだなどと安直に解釈したくはない。人と人との関わりの中で背負った心の罪は誰かに責められる様なものではなく、裁けるようなものではない。ただ、自分自身で決着をつけるしかないのだろう。それだけにそれはとても重く、簡単には救われない。
 話を聞いていた「人物」は男に自らの姿を重ね合わせたのだろう。相手の人物は男性か、女性か、受け取り次第でどちらでも良い。きっとその人物も同じような過去を背負っていたのだろう。
 ただ、違うのは過ぎた時間の長さだろう。良くも悪くも経てきた年月の違い。それはまた残された年月の違いでもある。
 その人物は周りの人達を忘れてはならないと言う。
「自分の事も分からんくせに、おせっかいやくなと笑わんといて」
 その人物は自嘲する。それは自分に出来なかったことだ。成功を求めてめまぐるしく生きたその人物は、時間の経つのを忘れ、総てと引き換えに成功を手にしたその時になって気が付いたのだろう。手遅れになってはじめて心の奥に足りない何かがある事に気付いたのだろう。その瞬間、成功はなんの成果でもなくなり、その人物は自分の未来を描けなくなった。それでも今日まで生きてきたのは、その何かを知りたかったから。
「もし、今から何かをする事で失ったものを手に出来るなら何を捨ててもいい。」
 しかし人の心なんてものは簡単に割り切れるものではないし、今更じたばたしても取り戻せるとは思っていない。だからその人物は待つしかなかったのだろう。今の自分をそのままに受け止めるしかなかったのだろう。
 それでも最後にその人物は語る。
「思い切りあがいてみなさい。どこまでもやってみなさい。君の罪なんて忘れなさい。
 私は出来なかった事だけど、君には失ったものを取り戻せるかも知れない。私の道はここにとどまること。君の道は歩いていく事。それぞれにある道を行くことだ。」
 それは人生の交差点での出来事。


 以下焼き直しバージョン

 思い入れがあると言うのはある意味困ったものだ。先日文章に起こしたが、何か違うと言いよるねん(笑。
 そこでもう一度書いてみた。書いてる間に確かに違うものになった。困ったものだ。
 旅の男の言葉に老人の語りという構成なので、迷った挙句方言にしてみたが、自慢じゃないが私は広島弁は知らん!これは違うとかあったら誰か教えてくださいませ。

「俺はいい加減な男じゃけ、駄目な奴じゃけ、放っておいてくれんさい。あんたにそんな優しい言葉を掛けられても戸惑うばかりじゃけ。私は泣きとうはありません。少なくとも人前で泣きとうはありません。」
 あんた、何処へ行くつもりなんかね。そんなあても無い旅をして、何か良い事があるんかね。今までに良い事があったんかね。
 まあ、そうしたいというなら仕方が無いことやけど、あんたにも家族なり何なり、待っとってくれる人が居るんじゃろう。何処か落ち着くところを見つけたなら、連絡くらいせにゃいかんよ。電話では気が引けるって言うなら、手紙でも良いんじゃ。無事を知らせてやらにゃ嘘じゃで。
「そう言うあんたはどうなんね。あんたやていい年をして、こんな所にたった一人住んどって、人の事言えるんかね。」
 痛いところを突きよるなぁ。
 此処に来てもう随分経ちよったなぁ。成功を夢見て、そのころはそれこそがむしゃらだったわ。十年二十年、あっという間じゃった。その間、何にも目をくれんとな。成功を掴みたくて、ひたすら突っ走ったわ。
 これまでいろんな人を傷つけてきたんじゃろうな。そりゃ、多少の無理もしたけんな。自分にも厳しかったが、人にも厳しかった。時には人の心を傷つけてしまった事もあるじゃろう。気がつけば周りには誰も居らんかったよ。家族も、信頼できる仲間も一人も居らんかった。孤独なもんじゃ。金なんぞ幾ら有っても惨めなもんじゃ。でな、初めて気がついたんじゃ。やっぱり人は人が好きなんじゃとな。
 今のわしの孤独が罪故だとしたら、その罪はどん位重いんかのぅ。判らんわ。償うと言ってもどうしたら良いんじゃろか、それも判らん。じゃからな、拘らん事にしたんよ。あとはなるようになる。空任せじゃ。
 孤独でいるとな、生きとるのも嫌になることがあるんよ。でもな、死のうとは思わんかった。なーんか、こう、違う気がしたんじゃ。まだ何かする事があるんじゃないかと、ただ漠然と思いよってな。今だ、こうして生きさらばえておる。まあ、広い世の中、ええじゃろ、隅の方に老人の一人くらい生きておってもな。
 自分が何をしたいのかも判らんくせに、人に説教しとったらいかんわのぉ。おせっかいで変な奴じゃろ。まあ、そこは笑わんといてくれ。
 昔、女がおったんよ。優しい良い女じゃった。いや、世間目には普通の女でな、特別どうという女でもなかった。でもわしには代え難い女じゃった。
 思いつく限りの事をしてやった。指輪もやった。服も買ってやった。食事も一番ええもんを誘ったし、旅行にも連れて行った。・・・女の喜びそうな事なら、何でもした積りじゃった。
 女には好きな男がいたんや。うだつのあがらん奴でな、わしなんかとは比べようも無い貧乏な男じゃった。わしの方が女を幸せにしてやれる。望むもんは何でも与えてやれる。愛情かて負けんかった。女の心を奪えるもんなら何でも出来た。持っとるもの総て捨てても良いとさえ思った。
 じゃがなぁ、ある時、女が泣きよったんね。突然、泣きよったんね。
 理屈やないんやなぁ、人の心なんてもんは。じゃからなぁ、選ばせたんじゃ。女に選ばせたんじゃ。結果は判っておったがな。
 今でも夢に出て来よるわ。いい女だった。
 実はわしも旅に出たかったんよ。何処へなりと行きたかったんよ。でもなぁ、心が折れて、寒くて、何も出来んかった。旅に出たら最後、わしと言う人間が、何処かに消えてしまいそうでなぁ。
 すまんな。ごたごた言うて。前言撤回させてもらうわ。
 あんたは行ってみたらええ。気の済むまで行ってみたらええ。わしと違って何も無かったんじゃ。
「俺、実は・・・」
 いーや、何も無かったんじゃ。罪など何も無か。あんたはあんたじゃ。思いつくままに何処まででも行ってみたらええ。何処かで誰かが呼んどる。お前と出会うのを待っとる。
 わしは残る、お前は行く、それぞれの道じゃけ。
 ただ、忘れるんじゃ無か。そこには人が生きとる。人が居るんじゃ。
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~ Comment ~

NoTitle

映画のワンシーンみたいに情景が浮かびました。
主演は菅原文太か健さんで相方は武田鉄矢。
ちょっとしたひと時の邂逅の後、人は別れていく
ものなんですな。
関連記事にあった、中島みゆきの「海鳴り」をyoutubeで
聞きました。
中島みゆきらしい歌詞とメロディーラインですね。
スルメを噛むように聞けば聞くほど惹かれていきます。
いかん、「忘れないで」が耳に残って消えない。(笑)

エリアンダー様へ

 こんにちは。コメントありがとうございます。
 映画のワンシーンみたいに・・・おお、なんと言う褒め言葉。まことにありがとうございますm(_ _ )m
 そもそもは、この歌の解釈を求めていたQ&Aみたいなのに書かれていた「まとまった文章になっているわけではないので論理的な解釈はできない」とか「とりとめのないつぶやきの様で情景を伝えられない」と言った回答に対するわたくしめなりの反論でありました。あなたたち、読み取る力も無いくせに何を言ってるんだ・・・ってなもんです(笑
 歌は言葉を際限なくは使えません。限られた言葉の中にどれだけの意味を込められるかが鍵だと思います。惚れた張ったの陳腐な言葉ばかり使う乱造歌に慣れ切ってしまうと、上辺だけを見て判った気になってしまうのかもしれません。悲しいかな。逆に〇束〇ひろみたいにショッキングな言葉をやたらと並べるのもいかがなものか。深い意味を込めた積りなのでしょうが、文章として破綻しており単なる文節の羅列になってしまっている。わたくし、国語をどうのと言える程のものではありませんが、この国の文章力の劣化には危機感を抱く次第であります。
 「海鳴り」は古い曲ですが、とても深い歌詞故に皆様にぜひ知っていただきたい歌です。歌は新しければ良いってもんじゃない。歳月の淘汰を掻い潜り今尚残っている歌は、乱造され半年もしないで影も形もなくなる歌とは別物なのですよ。
 と、言いたい放題なわたくし(笑
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